夏至の食べ物、意味や風習とは
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今年の夏至はいつ?夏至の意味や夏至の風習とは
夏至とは
夏至は、日本においては1年のなかで昼間(日の出から日の入りまでの時間)が最も長くなる日のことを言い、「日長きこと至る(きわまる)」という意味が含まれています。
立夏と立秋のちょうど間である夏至は、読んで字のごとく、この頃から夏に至る、すなわち気温が上がり始めて夏らしくなっていくと言われています。
また日本の夏至の日は太陽が1年を通してもっとも高い位置を通るため、夏至を境として徐々に日が短くなっていきます。
昼間の時間がもっとも長くなる日本の夏至ですが、緯度の関係で日本国内でも北の方がより日が長くなります。
2025年の夏至である6月21日の東京と札幌の日の出・日の入りの時間を見ると、札幌の方が約1時間も日が長いようです。
東京:日の出 4:26 日の入り 19:00(14時間34分)
札幌:日の出 3:55 日の入り 19:18(15時間23分)
(参考 国立天文台:https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/)
ちなみに緯度66.6度以北の北極圏では、24時間太陽が沈まない白夜となります。
夏至っていつ?
2025年の夏至は6月21日です。
ただし6月21日が必ず夏至、というわけではなく、実は夏至は6月20日から6月22日のいずれかになります。実際、2020年から今年まで夏至は毎年6月21日でしたが、2019年の夏至は6月22日でした。さらに2056年はうるう年の関係で6月20日が夏至となるようです。
この夏至の日にちをどのように決めるかというと、季節を定める「定期法」という方式で定められます。その定期法における季節を定める間隔が一定ではないため、夏至は毎年6月20日から6月22日のいずれかになります。
夏至と冬至、二十四節気
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日本などの北半球の国が夏至を迎えるタイミングで、南半球の国では冬至となります。冬至は夏至の反対、つまり1年のなかで昼間の時間がもっとも短く夜が長い日です。
夏至も冬至も、古代中国で発明された1年を季節の区分として24等分する二十四節気(にじゅうしせっき)という暦から来ています。
二十四節気には夏至や冬至のほか、夏至・冬至の中間の日である「春分」「秋分」や、おそらく耳馴染みのある方も多い「立秋」や「立冬」も含まれています。
ただし、この二十四節気は、「夏至」が梅雨時期である6月だったり、「立夏」が春のイメージの5月だったりと、中国発祥のもののため日本の季節感と異なる場合があります。
そのため、日本では二十四節気とは別に暦を表す雑節(ざっせつ)が設けられました。雑節には彼岸や土用、節分などがあります。
夏至の風習・行事
夏至には全国的な風習がほとんどありません。
その理由の一説として、日本では夏至の時期が田植え時期などの農作業の繁忙期と重なっており、夏至独自の風習が生まれづらかったということが言われています。
その中で、もっとも有名な日本の夏至の行事は伊勢の「夏至祭」ではないでしょうか。
日本の夏至の行事
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三重県伊勢市にある二見興玉(ふたみおきたま)神社では、毎年「夏至祭」が行われています。
二見興玉神社のある二見浦海岸は伊勢神宮にお参りする前に、海の水を浴びて身を清める場所と言い伝えられています。
夏至祭はこの二見浦海岸で早朝の3時半から行われる行事で、海上から見える「夫婦岩」の間から昇る朝日を浴びて禊とします。
この朝日を太陽の神様に見立てて拝んだ後に、天照大御神を祀っている伊勢神宮にお参りするのが伊勢神宮参拝の正しい方法と言われています。
夏至祭は日本で行われている数少ない夏至の行事ですが、海外では比較的盛んに行われています。
世界の夏至の行事
海外の夏至の行事で特に有名なのは、スウェーデンの夏至祭です。
スウェーデンの夏至祭は別名ミッドサマーと呼ばれ、6月下旬の夏至に一番近い日を夏至祭の日と定めます。夏至祭の前日と前々日は祝日となり、クリスマスと同じくらい大切な日と位置づけられています。
スウェーデンの夏至祭では、町の広場に立てられた柱の周りを民族衣装や花冠を付けた人たちが踊って楽しみます。
スウェーデンの夏至の時期は白夜となるところも多く、夏至祭は真夜中から朝まで続きます。
スウェーデンのほかにもフィンランドやノルウェー、デンマークなど北欧の国を中心に夏至の行事が盛んに行われています。
夏至の食べ物とは
さて、話を日本に戻します。先ほどお話しした通り、日本ではお祭りなど行事の風習はさほど多くないのですが、食の風習はどうなのでしょうか。
冬至と言えばカボチャ、というように全国的に連想される食べ物は実は夏至にはありません。ただ、各地方には夏至の時期に食べる食べ物が存在しています。
- 冬瓜
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全国的な夏至の食べ物が多くない中で、比較的夏の時期に連想される食べ物が冬瓜(とうがん)です。
“冬”という字が入っていますが、冬瓜は夏が旬の夏野菜です。夏バテを予防する効果が期待できるビタミンCやカリウムが豊富に含まれており、水分を多く含む冬瓜は夏至にぴったりの食べ物と言えるでしょう。 - タコ
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関西では夏至の食べ物としてタコが有名です。
先ほどお話ししたように、夏至は田植えの時期と重なります。そこで「稲の根がタコの足のようにしっかり根を張るように」「タコの8本足のようにたくさんの稲穂ができるように」というように、タコと田植えを関連付けたことからタコを食べる風習ができたと言われています。 - 新小麦の焼き餅
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関東地方では、新小麦を使った焼き餅が夏至の食べ物として広まっています。
関東では田植えと同時に小麦を作る農家が多いことから、夏至に小麦を使った焼き餅を作るようになり、「お餅のように粘り強く物事を行うように」という意味を込めていたようです。 - 半夏生餅
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夏至から11日目の日を「半夏生(はんげしょう)」と言います。奈良や和歌山、大阪の一部地域では、この時期に半夏生餅を食べる風習があります。
関東の新小麦を使った焼き餅と似ており、小麦ともち米を半分ずつ混ぜて作り、きな粉をまぶして食べます。
夏至から半夏生までの田植えが終わった頃に食べるので、神様に感謝しながら豊作祈願とともに田植えのねぎらいの意味も込めて食べられるようになったようです。 - 焼き鯖
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福井県の大野市周辺の地域では半夏生に焼き鯖を食べる風習があります。
その起源は江戸時代にさかのぼり、現在の大野市を治めていた大野藩の藩主が田植えを終えた農民の疲労回復のために「半夏生鯖」と呼ばれる鯖の丸焼きをふるまったことが始まりと言われています。 - 無花果(いちじく)田楽
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無花果田楽は、尾張地方など愛知県の一部地域で夏至の日に食べられる食べ物です。
栄養が豊富に含まれている無花果を半分に切って田楽味噌をかけて食べるのですが、田楽は豊作を祈る踊りが由来とされており、健康と豊作への願いを込めて食べられるようになったようです。 - 水無月
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水無月は三角形の和菓子で、白いういろうに小豆を載せています。
この小豆には魔除けの効果があるとされていて、京都で夏至を少し過ぎた6月30日に行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」で、年の前半の厄を祓い、残り半年の無病息災を祈りながら食べます。 - ミョウガ
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三重県を中心に夏至の時期に食べられているのがミョウガです。
夏バテ防止や食欲増進などの効果があると言われているミョウガは、半夏至餅と同じく、田植えのねぎらいの意味で食べられるようになったようです。 - うどん
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香川県では、半夏生の頃にその年に収穫した小麦で打ったうどんを農作業を手伝ってくれた人たちへ、お礼の意味を込めてふるまう風習があります。
その風習から、半夏生を迎える時期の7月2日は「うどんの日」として制定されています。 -
夏至の時期に食べるものは実はたくさんあるのがお分かりいただけたかと思います。
では最後に夏至の代表的な食べ物である冬瓜レシピを紹介いたします。 -
<材料 (2人分)>
冬瓜 1/3個
薄揚げ 1/5枚
粒状だし 小さじ1/2
水 200ml
すりごま 適量
小ネギ 少々
<作り方>
■ (A)
水 下茹で用 冬瓜にかぶるくらい
塩 ひとつまみ
■ (B)
みりん 小さじ1
薄口醤油 小さじ1/4
1.冬瓜に(A)をいれて、冬瓜に串が通るくらいまで下茹でする
2.水に出汁をいれて煮たったら下茹でした冬瓜と薄揚げを入れる
3.沸騰したら(B)をいれ、3分くらい煮込む
4.器に入れて粗熱が取れたら30分以上冷蔵庫で冷やす。※温かいままで召し上がりたい方はこの工程は不要
5.食べる直前にすりごまをかけて、小ネギを散らす。
参考:https://cookpad.com/recipe/7600143
夏至はこれから夏本番を迎える季節です。夏至の時期の食べ物は夏バテ防止にも効果があるとされているので、冬瓜やタコをうまく取り入れた献立で夏を乗り切りましょう。 -
夏至に代表されるように、日本には季節に応じた食べ物や料理があります。
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